大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟簡易裁判所 昭和34年(る)1号 判決

請求人 高野嘉吉

明四〇・六・二八生

決  定

(請求人氏名略)

右請求人より、当裁判所が請求人に対し昭和三十三年十二月十八日した略式命令に対し昭和三十四年一月十四日正式裁判請求権回復の申立があつたので次のとおり決定する。

主文

本件正式裁判請求権の回復を許す。

理由

本件請求の要旨は請求人は当裁判所より昭和三十三年十二月十八日請求人に対する北海道漁業調整規則違反被告事件につき略式命令により罰金五千円に処せられその謄本は同月二十六日請求人の肩書住居において請求人と同居する妻に送達された。請求人は同月二十五日以降昭和三十四年一月九日までの間所用のため旅行不在中で右の事実を全然知ることができず同月十日帰宅して初めてこれを知つたところが当時既に右略式命令に対する正式裁判請求期間が経過していた。しかし右の期間経過は請求人の責に帰すべき事由によるものでないから右略式命令に対する正式裁判請求権の回復を求めるというにある。

以上の事実はすべて本件記録中の関係書類及び証人高野タズ、同戸松得平、同根布キヨ、請求人本人の各尋問調書の記載を綜合して認められる。従つてこれによる請求人の本件略式命令に対する正式裁判請求権の喪失は請求人の責に帰することができない事由によるものと認められ、また本件回復の請求が法定期間内に正式裁判の請求と同時になされたことは本件記録中の関係書類によつて明かである。

よつて刑事訴訟法第四六七条、第三六二条により主文のとおり決定する。

(裁判官 櫛谷国太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例